1.地球大紀行

番組について


↑2002年発売されたDVDセット

 NHKの科学番組の中でもっとも先駆的だったのがこの地球大紀行といえます。1987年、一年を通して全12集が放送されたこの番組は、それまでの科学番組とは一線を画す、グローバルな視点を持って地球の神秘やそこに暮らす生物の不思議についてとらえた、非常に優れたものでした。製作期間は3年とも言われ、当時最新鋭のカメラやCG・特撮技術を駆使した映像は少年時代の私には非常に衝撃的でした。幼少期、内容もろくに分からないにも関わらずずっとかじりついていた記憶があります。
 音楽を担当したのは、戸川純の在籍した「ヤプーズ」の元キーボーディスト、吉川洋一郎。彼が手がけたテーマ音楽は多くの人に感動を与え、1993年JASRAC国際賞を受賞しました。しかしながら、東芝EMIから発売されたCDは全て廃盤、2002年に吉川氏自身のHP"io-factory"でベスト盤「The Miracle Planet」がようやく再販され、マニアの間で話題になりました。また同年、特典映像「その後の地球大紀行」を収録したDVD(右)も発売されました。それまでのVHS、LD版ではカットされていたオープニング映像やエンドロールがきちんと収録されている点は見逃せません。
データベース
各タイトル 初回放送日 放送内容・補足説明
プロローグ:あなたの住む星を知っていますか 1987/1/4 未視聴。NHK静岡放送局の「浜松支局常設映像ライブラリー」でこの映像を視聴することが出来るらしい。
第1集「水の惑星・奇跡の旅立ち」 1987/1/25 地球上のクレーターから、地球の成り立ちについて説明。番組の最初らしく、導入編という感じを受ける。 (補:本集のみ、放送時間が60分だった)
第2集「引き裂かれる大地」 1987/2/22 アイスランド、海底山脈を回り、地球内部から発生する巨大な力について解説。(補:なお、番組内で「大地を引き裂いた原因」として考えられていた「大陸の毛布効果」説は現在では否定されており、「その後の地球大紀行」で訂正されている。)
第3集「残されていた原始の海」 1987/3/29 オーストラリア西海岸に生息する、酸素を放出する微生物。彼らこそ、地球に初めて酸素をもたらした生物だった。その誕生によって地球に起きた様々な変化を探る。
第4集「奇岩に潜む大気の謎」 1987/4/26 中国・桂林に広がる石灰岩地帯は、海の生物によって作られたものだった。珊瑚礁の成り立ちと共に、石灰岩に変わった気体の謎に挑む。
第5集「巨大山脈の誕生」 1987/5/31 8000m級の山々が連なるヒマラヤ山脈から、海の生物の化石が発見された。巨大山脈の形成と地球内部のプレート移動の関係に迫る。
第6集「巨木の森・大地を覆う」 1987/6/28 熱帯雨林に生息する、高さ100mを超える巨木。始めに陸に上がった植物は、そこでどのような進化をたどったのか。植物の繁栄とそれに伴う大気の変化について紹介する。
第7集「恐竜の谷の大異変」 1987/7/26 6500万年前に突然絶滅した恐竜。その原因として、放送当時台頭してきた「巨大隕石衝突説」を紹介し、そのとき地球に起きた大異変に迫る。
第8集「氷河期襲来」 1987/8/30 カナダの牧草地帯に横たわる謎の巨石、「迷子石」。それはかつて、氷河によって運ばれてきた石であった。過去の氷河期の原因と、将来起こりうる可能性を紹介する。
第9集「移動する大砂漠」 1987/9/27 パリに降る赤い雪の正体は、遠くサハラ砂漠から運ばれた砂塵であった。熱く乾燥した砂漠、サハラを舞台に、地球における砂漠の形成について迫る。
第10集「資源を生んだマグマ噴出」 1987/10/25 金、銀、銅、そして多くの地下資源。我々人間の生活になくてはならない資源の多くは、実はマグマの活動によってつくられたものだった。南アメリカ、アンデス山脈の銅鉱山を舞台に、資源を生むマグマの働きを追う。
第11集「多重バリアーが守る生命の星」 1987/11/29 大気が循環する「対流圏」。オゾン層が存在する「成層圏」。オーロラが発生する「磁気圏」。「多重バリアー」とも呼べるこうした地球の大気の層の働きについて迫る。
第12集「太陽系第三惑星・46億年目の危機」 1987/12/27 人間は、文明の発達によって地球にどのような影響を与えてきたのか、そしてこれからどのように地球と関わっていくのだろうか。最終集にふさわしく、地球と人間とのあるべき関係を模索する。